2003年にフランス国立図書館が催した「アンリ・カルティエ=ブレッソンとは 一体何者なのだ?」というタイトルの回顧展に本人が自答したドキュメンタリー映画。 雑誌でこの映画の存在を知り、早く見たいなと思っていたのだが、独立系の 映画の常で、東京を皮切りに順に各都市を回りやっと当地に来た。 〜”決定的瞬間”という言葉の生みの親であるスナップの神様〜 写真には相性(好みと置き換えてもいい)がある。 1枚の写真を前にして、”よくわかる写真”と”わからない写真”。 僕にとってブレッソンの写真は”よくわかる写真”。誤解してるかもしれないが。 何が訴えたいのかよくわからない難解な写真はイライラさせられるが、 ブレッソンのはホッとさせられる。だからこの映画を見ていても、彼の言葉の 一つ一つに合点がゆく。 「写真は構図と配置」 「きちんと構図を決めればノートリ」 「写真は瞬間。短刀の一差し」 「ポートレートが一番難しい。その瞬間は2度とないから」 構図と配置を決めて、後は役者の演技をじっと待つ。そして来るべきその一瞬に 必殺の一撃を放つ。これぞ”スナップ・ショット”。 これはスナップに限らず、殆どの写真のジャンルに言えるのではないかと思う。 街でスナップを撮っていて、ああ、ここに存在感のある人が来ないかなと思った 事が何度もある。存在感のある人が先にそこで待っててくれる事もある。 それらを逃さずに必殺・・・がなかなかできない。ブレッソンだって百発百中 じゃなかったと思う。と思いたい・・・ 今回の映画を見て改めて感じたこと。それは”写真は足し算”。 写真は引き算という有名な言葉があるが、自分は足し算派。 大雑把に構図を決めてそこからザッザッと削って行くのと、構図はこうと 決めてそこに何かを足して行く。アプローチの違いで結果は同じなのだが、 ブレッソンは足し算派だ。だからわかりやすいのかもしれない。 今回もう一つ印象に残った彼の言葉。 「現像は苦手」 この瞬間だけ神様から人間になったな。
by hiroki147
| 2006-08-02 10:01
| 写真
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